5月12日 その①
明日は母の日。
前日だけど仕事はお休みなので午後からカーネーションでも買って実家に行こうかなと思っていた。
6時18分、母のケータイからの着信で起こされた私。
こんな朝から・・・とは思いながら電話に出ると近所のおばさんからの一言。
「お母さんが倒れたからすぐに来て!」
寝起きな事もあり、実感がわかないまま急いで搬送先の病院へ。
一緒に救急車に乗った父が待合席に、母は救急処置室の中。
少し遅れて下の姉が到着。MRIの為に処置室から出てきた母は意識が無くぐったりとしていた。
少しして、担当医の先生から高血圧性脳出血(被殻出血)との説明。
後遺症として伺ったのは言語障害と右半身の運動麻痺。
また、数時間後に出血が治まっていなければ緊急手術が必要らしい。
丁寧に説明をしてくれたがあまりに急な出来事。
何も考えることができなかった。
CTスキャンを終え、昼過ぎにもう一度担当医の先生からの説明を受けた。
出血は治まったらしい。手術は免れた。
担当医の先生から言語障害とはどんなものなのか、運動麻痺とはどんなものなのか説明を受け、退院時は車椅子を覚悟してくださいと言われた。
そして先生が最後に、
「リハビリは辛いものなんです。そういう時患者さんは思います。何で私だけこんな事になったのか、何で私だけこんなに辛いのかって。どんなに僕らが治そうとしても患者さんの気持ちを支えてあげる事は難しいんです。リハビリに本当に必要なものは家族愛なんです。」
担当医がこの先生で良かった。
一通り説明を受け、母の病室へ。
手を握ると目を開けて私をじっと見つめた。
(こんな事があるのかはわからないが)私が誰かわかっているかの様な目をしていた。
東京にいる姉夫婦も到着し、今日は家に帰る事に。
帰宅途中の車の中、昔から私が農家を継ぐことに大反対だった父から
農家を専業で手伝ってくれないかと言われ「もちろん」と返す私。
父が私にこう言った。
「お前の人生を狂わせてしまったな・・・。」